商標登録の要件

商標登録の要件

・商標使用の意思がある
・権利能力を有する
・法上の商標
・一般的登録要件を満たす
・具体的登録要件を満たす(=不登録事由に該当しない)
・先願
・一商標一出願
・適式な出願
・条約に反しない

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商標使用の意思があると認められない例

銀行や保険会社の、商品の製造や販売

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一般的登録要件を満たさない商標

・普通名称
・慣用商標
・記述的商標
・ありふれた氏または名称
・極めて簡単で、かつ、ありふれた標章
・その他識別力がない商標

【該当条項】一般的登録要件

第3条

慣用商標の例

・清酒に「正宗」
・薬に「ダルマの図形」
・カステラに「オランダ船の図形」
・あられに「かきやま」
・弁当に「幕の内」
・宿泊施設の提供に「観光ホテル」
・興行場の座席の手配に「プレイガイド」

商品の記述的商標

・産地、販売地
・品質
・原材料
・効能
・用途
・数量
・形状
・価格
・生産、使用の方法、時期

役務の記述的商標

・提供の場所
・質
・提供の用に供する物
・効能
・用途
・数量
・態様
・価格
・提供の方法、時期

商品の産地・販売地や役務の提供の場所を問わず、記述的商標とされるもの

国家名や「ロンドン」「東京」等の著名な地名

ありふれた氏または名称の例

・スズキ
・山田
・日本運輸サービス株式会社

極めて簡単で、かつ、ありふれた標章の例

・「○」「□」「△」のような図形
・ローマ文字の1字もしくは2字
・数字
・球形、円柱等の立体的形状

その他識別力がない商標(3条1項6号)の例

・平成
・店舗や事業所の形状にすぎない立体的商標

3条2項

3条1項3号~5号に該当しても、使用により識別力を生じた商標は登録を受けられる

3条1項3号~5号

・3号:記述的商標
・4号:ありふれた氏または名称
・5号:極めて簡単で、かつ、ありふれた標章

使用により識別力を生じた商標の例

・プッシュホン
・クボタ
・イ(にんべん)

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具体的登録要件を満たさない商標(不登録事由)

・国旗・菊花紋章等
・パリ条約の同盟国、WTO加盟国、商標法条約の締約国の紋章等
・国際機関の表示
・赤十字の名称等
・政府の監督用の印章
・国等を表示する著名標章
・公序良俗違反
・他人の氏名等
・博覧会の賞
・他人の周知商標
・他人の先願先登録商標
・他人の登録防護標章
・商標権消滅から1年未満の商標
・種苗法の品種名称
・出所混同
・品質等の誤認
・ぶどう酒等の地理的表示
・機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる
・不正の目的で使用をする他人の著名商標

【該当条項】具体的登録要件

第4条

【該当条項】不登録事由:国際機関の表示

4条1項3号

4条1項3号において、該当標章を指定する主体

経済産業大臣

国際機関の表示の例

・国際連合の旗
・UNESCO
・EURATOM

【該当条項】不登録事由:赤十字の名称等

4条1項4号

【該当条項】不登録事由:政府の監督用の印章

4条1項5号

4条1項5号において、該当印章または記号を指定する主体

経済産業大臣

【該当条項】不登録事由:国等を表示する著名標章

4条1項6号

国等を表示する著名標章(4条1項6号)の例

・YMCA
・オリンピック
・JETRO
・NHK
・ボーイスカウト
・大学の標章
・都市の紋章

【該当条項】不登録事由:他人の氏名等

4条1項8号

【該当条項】不登録事由:博覧会の賞

4条1項9号

4条1項9号において、国内の博覧会を指定する主体

特許庁長官

【該当条項】不登録事由:他人の周知商標

4条1項10号

【該当条項】不登録事由:他人の先願先登録商標

4条1項11号

4条1項12号に抵触する商標

他人の登録防護標章と同一の商標であり、同一の指定商品・役務について使用するもの

4条1項13号の適用が除外される場合

代理人等の不当登録の取消審判により登録を取消された商標について、当該審判の請求人が出願する場合

【該当条項】不登録事由:品質等の誤認

4条1項16号

品質等の誤認の例

・日本製のウィスキーに「スコットランド」
・卵が入っていないシャンプーに「タマゴシャンプー」
・チューインガムに「クッキー」
・鍋に「アンチ一万度」
・食塩に「味の素」
・付記的部分に「JIS」「JAS」
・受賞の事実がないのに「○○大臣賞受賞」(9号に該当するものは除く)

【該当条項】不登録事由:ぶどう酒等の地理的表示

4条1項17条

4条1項17号において、日本国のぶどう酒もしくは蒸留酒の産地を指定する主体

特許庁長官

【該当条項】不登録事由:不正の目的で使用をする他人の著名商標

4条1項19号

4条1項19号に抵触する例

・外国で著名な商標の転売目的
・外国権利者の国内参入の阻止目的
・国内で著名な商標の稀釈化目的

4条1項各号のうち、査定時には該当していても、出願時に該当していなければ適用を免れるもの

・8号:他人の氏名等
・10号:他人の周知商標
・15号:出所混同
・17号:ぶどう酒等の地理的表示
・19号:不正の目的で使用をする他人の著名商標

4条2項

4条1項6号に該当する商標について、当該団体自らの出願の場合は同号により拒絶しない

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【該当条項】先願主義

第8条

先願の地位を喪失する場合

・放棄
・取下げ
・却下
・査定または審決が確定(登録査定も含むかどうかは意見が分かれている)

くじの主体

特許庁長官

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6条1項

・一商標一出願
・商品または役務を指定する

6条2項

政令で定める商品および役務の区分に従う

6条3項

商品および役務の区分は、商品または役務の類似の範囲を定めるものではない